チャットレディの経費を仕分けるイメージ。リングライトとウェブカメラのある自宅デスク、衣装ラック、2つのトレイに仕分けたレシートを描いたアイキャッチ画像

チャットレディの確定申告 Q&A

チャットレディの確定申告 経費はどこまで認められる?

公開 2026年7月25日/最終更新 2026年7月26日 |監修 小野 好聡(公認会計士・税理士)

お答えします

配信機材(カメラ・照明・パソコン)、通信費、配信に使う部屋の家賃や電気代のうち業務部分は必要経費になります。一方で衣装代・化粧品・美容院代は原則として家事費で、経費になりません。自宅の一室を配信に使っている場合は、面積や配信時間で区分できる部分が経費になります。

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解説

くわしい解説

経費の中心は配信機材と通信費

所得税法37条1項は、必要経費に算入すべき金額を二つ定めています。総収入金額を得るため直接に要した費用と、その年における販売費、一般管理費その他その所得を生ずべき業務について生じた費用です。チャットレディの報酬に仕入はありませんから、効いてくるのは後者。ウェブカメラ・リングライト・マイク・パソコンといった配信機材と、通信費が中心になります。

機材は取得価額が10万円未満ならその年の必要経費、10万円以上は減価償却です。10万円以上20万円未満には一括償却という方法もあります。

どの年の経費になるかは、支払った時ではなく債務が確定した時で決まります。12月31日までに債務が成立し、具体的な給付をすべき原因となる事実が発生し、金額が合理的に算定できていれば、決済が翌年でもその年の経費です。

自宅の一室を使うとき——家事関連費

所得税法45条1項1号は、家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるものを必要経費に算入しないと定めています。その政令が施行令96条で、家事関連費のうち経費にできるものを二つ挙げています。一号は、主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合のその部分。二号は、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者について、取引の記録等に基づいて業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分です。

一号の「主たる部分」は、通達45-2 が業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかで判定するとしています。あわせて同じ通達が、5割以下であっても、必要である部分を明らかに区分することができる場合には、その部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えないとしています。

1Kの一角に配信スペースを作っているだけでも、その面積分は経費にできます。面積で分けるのか、配信した時間で分けるのか。サイト側に残る配信時間の記録は、時間で按分する根拠としてそのまま使えます。

必要経費になるかを判定する3段階のフロー図。売上のための支出か、生活と混ざっていないか、業務部分が5割超または明らかに区分できるか、を順に判定する
支出が必要経費になるかどうかは、この3つの関門で判断します。3つめが家事関連費の分かれ目です。

衣装代・美容代が経費にならない理由

衣装代・美容代は、原則として家事費で経費になりません。洋服・化粧品・美容院代・ネイルは、たとえ仕事のために整えていても、日常生活でも使える以上は生活のための支出と扱われます。所得税法45条1項1号が家事上の経費を必要経費に算入しないと定めているのは、まさにこの類型です。

経費にできるのは、専ら業務用で私用の余地がないものに限られます。配信のときにしか着ない衣装や、配信専用に用意した小道具がこれにあたります。「私服と兼用しているから半分」という按分の仕方は、この類型では通りません。区分できるかどうかは、外から見て私用の余地があるかで決まるからです。

一方、機材と通信環境はチャットレディにとって本業そのものです。画質や回線の安定は収入に直結しますから、業務用としての説明が立ちやすい支出になります。ここは遠慮なく計上して構いません。

家事関連費の按分基準の例。家賃は床面積、電気代は使用時間、通信費は使用実績で按分することを示した3列の図
按分の基準は支出ごとに変えてかまいません。選んだ理由を残しておくことが要点です。

記録は配信ログ、そして家族への支払い

按分の根拠として使いやすいのが、サイト側に残る配信時間の記録です。月ごとの配信時間が分かれば、電気代や通信費を時間で按分する説明はそれだけで成り立ちます。面積で按分するなら、間取り図に配信スペースを書き込んだものを一枚残しておけば足ります。機材のレシートには、何のために買ったのかを一行添えて保管してください。

所得税法56条は、生計を一にする配偶者その他の親族とのやり取りを、事業主ひとりの中の出来事として扱います。親族に払った地代家賃や給与賃金は必要経費にならず、代わりに、その親族が事業のために負担した費用が、事業主の必要経費になります。対価を払っているかどうかは関係ありません。給与賃金は青色事業専従者給与が例外で、青色申告者でない方には事業専従者控除があります。

実家住まいで親に家賃を渡している場合、その家賃は経費になりません。ただし親がその家屋のために負担している費用は、上のとおり本人の経費になります。

所得税と住民税は必要経費になりません。事業税は全額、固定資産税は業務用の部分が経費です。罰金・科料・過料は対象外で、業務のための借入金の利息は経費になります。

一次情報

根拠となる法令・通達・タックスアンサー等(原文)

所得税法 第37条第1項(必要経費)(抜粋)

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第37条第1項/同条第2項は省略

所得税法 第45条第1項第1号(家事関連費等の必要経費不算入等)(抜粋)

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第45条第1項第1号/第2号以下および第2項・第3項は省略

所得税法 第56条(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)

第五十六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第56条

所得税法施行令 第96条(家事関連費)

第九十六条 法第四十五条第一項第一号(必要経費とされない家事関連費)に規定する政令で定める経費は、次に掲げる経費以外の経費とする。
一 家事上の経費に関連する経費の主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費
二 前号に掲げるもののほか、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事上の経費に関連する経費のうち、取引の記録等に基づいて、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であつたことが明らかにされる部分の金額に相当する経費
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340CO0000000096)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第96条/所得税法第45条第1項第1号の委任を受けた規定

所得税基本通達 45-2(業務の遂行上必要な部分)

45-2 令第96条第1号に規定する「主たる部分が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の遂行上必要」であるかどうかは、その支出する金額のうち当該業務の遂行上必要な部分が50%を超えるかどうかにより判定するものとする。ただし、当該必要な部分の金額が50%以下であっても、その必要である部分を明らかに区分することができる場合には、当該必要である部分に相当する金額を必要経費に算入して差し支えない。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第45条《家事関連費等の必要経費不算入等》関係/所得税法施行令第96条

所得税基本通達 56-1(親族の資産を無償で事業の用に供している場合)

56-1 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその有する資産を無償で当該事業の用に供している場合には、その対価の授受があったものとしたならば法第56条の規定により当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入されることとなる金額を当該居住者の営む当該事業に係る所得の金額の計算上必要経費に算入するものとする。
法第57条《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》関係
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/11/01.htm)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法第56条《事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例》関係

国税庁 タックスアンサー No.2210 必要経費の知識(抜粋)

事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
必要経費の算入時期
必要経費となる金額は、その年において債務の確定した金額(債務の確定によらない減価償却費などの費用もあります。)です。
つまり、その年に支払った場合でも、その年に債務の確定していないものはその年の必要経費になりませんし、 逆に支払っていない場合でも、その年に債務が確定しているものはその年の必要経費になります。
この場合の「その年において債務が確定している」とは、次の3つの要件をすべて満たす場合をいいます。
(1)その年の12月31日までに債務が成立していること。
(2)その年の12月31日までにその債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)その年の12月31日までに金額が合理的に算定できること。
注意事項
必要経費に算入する場合の注意事項については、次のとおりです。
(1)家事上の費用は必要経費となりませんが、個人の業務においては一つの支出が家事上と業務上の両方にかかわりがある費用(家事関連費といいます。)となるものがあります。
(例)店舗併用住宅に係る費用(租税公課、家賃、水道光熱費など)
この家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
(2)必要経費になるものとならないものの例
イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受け取った人も所得としては考えません。
これは、土地や家屋に限らずその他の資産を借りた場合も同様です。ただし、例えば子が生計を一にする父から業務のために借りた土地・建物に課される固定資産税等の費用は、子が営む業務の必要経費になります。
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。
(注)青色申告者でない人についての事業専従者控除の金額が、必要経費とみなされます。
ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
(注)不動産所得を生ずべき業務の用に供する土地等を取得するために要した負債の利子の額は、不動産所得の計算上必要経費になりますが、不動産所得の金額が損失(赤字)となった場合には、その負債の利子の額に相当する部分の損失の額は生じなかったものとみなされ、他の所得金額との損益通算はできません。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失および業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。
ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料および過料などは必要経費になりません。
チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。
出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm)/令和7年4月1日現在法令等
根拠法令等:所法37、45、51、56、57、70、70の2、所令96、所基通37-1、37-2、37-27、45-1、45-2 ほか

所得税法 第204条第1項第6号(源泉徴収義務)(抜粋)

第二百四条 居住者に対し国内において次に掲げる報酬若しくは料金、契約金又は賞金の支払をする者は、その支払の際、その報酬若しくは料金、契約金又は賞金について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月十日までに、これを国に納付しなければならない。
六 キャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客にダンスをさせ又は客に接待をして遊興若しくは飲食をさせるものにおいて客に侍してその接待をすることを業務とするホステスその他の者(以下この条において「ホステス等」という。)のその業務に関する報酬又は料金
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)(https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033)/2026-07-25 取得時点
根拠法令等:所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第204条第1項第6号/第1号〜第5号・第7号・第8号および第2項は省略

※引用は原文のままです。読みやすさのため改行位置を調整し、一部を抜粋している箇所があります(編集・加工を行った部分)。最新の内容は必ず出典元のページでご確認ください。

チャットレディの場合

チャットレディの場合、ここが分かれ目

いちばん相談が多いのが衣装・化粧品・美容院代です。「映るために必要だから」という気持ちはよく分かりますが、税務上は日常でも使えるものは家事費という線が引かれています。ここを大きく計上していると、否認されたときに戻す金額もそれだけ大きくなります。

もう一点、報酬から源泉徴収されていないことが多いのがこの仕事の特徴です。所得税法204条1項が源泉徴収の対象として挙げているのは、原稿料や講演料、特定の資格者への報酬、芸能の出演料、そしてキャバレー、ナイトクラブ、バーその他これらに類する施設でフロアにおいて客に侍して接待をすることを業務とするホステス等——といったものです。オンラインで完結する配信の報酬は、この列挙に見当たりません。

源泉徴収がなければ、前払いされた税金もありません。確定申告で計算した税額をそのまま納めることになりますので、経費の整理と同じくらい、納税資金を別口座に取り分けておくことが大切です。

※実際の取扱いは業態・契約・実態により異なります。個別の判断は税理士または所轄税務署にご確認ください。

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